日本とエアバスの歴史
日本における協同と連携
日本がエアバスのビジネスの成長にとって重要な国であることは明らかです。そのためエアバスは日本において様々な分野にわたりプレゼンスを高め、産業界においてますます重要な役割を担うようになっています。
エアバスは50年以上にわたり、600機以上の固定翼および回転翼機を日本のお客様に提供しています。
東京にオフィスを構えている他、神戸市には最先端のヘリコプターサポート施設を設置し、整備、修理、オーバーホール(MRO)や改造、技術支援、日本唯一のヘリコプターのフル・フライト・シミュレーターによる訓練を提供しています。また、東京のロジスティックセンターでは可能な限り短いリードタイムで部品供給を行っています。さらに、100社以上の日本企業が、エアバスの様々なプログラムに参画しています。
研究技術開発(R&T)でも日本とエアバスは様々な共同プロジェクトに取り組んでいます。複合材や構造健全性診断技術に関する共同研究開発を行い、また、航空機の製造工程におけるヒューマノイドロボットの活用に関する研究も進められています。
エアバスは日本で将来の技術革新を生み出す活動に注力しています。
JALがA350-900を18機とA350-1000を13機を発注。JALにとって初めてのエアバス機発注となった。
顧客とサプライヤー
近年エアバスは日本の民間航空機市場において著しく存在感を高めています。日本航空(JAL)からA350 XWBの大型受注を獲得し、ANAホールディングスからはA320ファミリーの追加発注に加え、A380の受注も獲得しました。ANAのA380初号機は2019年3月に引き渡され、機体にウミガメの親子が描かれた特別塗装が多くの人々から注目を浴びています。
エアバスの単通路型機も日本で人気が高く、多くのLCC(エアアジア・ジャパン、ジェットスター・ジャパン、Peach、バニラエア)に導入されています。今後日本の航空会社に納入される新造機のほぼ半数がエアバス機の見通しです。
100社以上の日本企業がエアバスの様々なプログラムに参画しています。たとえば三菱重工業がA380の前・後部貨物ドア、SUBARUがA380の垂直尾翼前縁・後縁、JAMCOがCFRP製フロアビーム、垂直尾翼用縦通材、ギャレー、日本飛行機が水平尾翼端を製造。A350 XWBプログラムでもJAMCOやパナソニック、富士通、ブリヂストン、横河電機などが参加しており、さらに日本製鉄は全エアバス機向けに純チタンシートを、東レと帝人は全エアバス機に炭素繊維を供給しています。
エアバスは日本企業から年間10億ドルの部品調達を行っています。
エアバスの防衛製品は、日本の将来に必要な製品を幅広く取り揃えています。高い汎用性を持つ海上哨戒機C295Wは沿岸警備やその他任務に最適な性能を発揮します。ロールオン/ロールオフ機能によりそれぞれ異なる任務に迅速に対応することができ、高いフリート活用を確保します。さらにエアバスは、将来戦闘機コンセプトにおいて設計から開発、生産、アップグレード、運用、サポートまで日本とのパートナーシップを提供することができます。富士通とのパートナーシップにより、電子戦用施設やサービス、訓練の提供も可能です。
日本においてエアバスは、産業パートナーシップや政府との関係構築、金融機関との緊密な関係維持に注力しています。産業面においては、SUBARUやJAMCO、川崎重工業、三菱重工業、新明和工業、帝人、東レなど多くの大手企業がエアバスのプログラムに参画しています。
日本で最大の共同プロジェクトの一つが、川崎重工業との小型多用途双発ヘリコプター、H145/BK117の共同開発、生産です。これまで世界中から1,500機の受注を獲得しています。
エアバスはまた、日本を研究・技術開発共同プロジェクトを推進する主要拠点の一つとして捉え、様々なプロジェクトに積極的に関わっています。たとえば、エアバスが取り組むデジタルトランスフォーメーションへの日本のパートナーの参加を促しています。顧客ニーズを超える製品やサービスを提供することで、日本の産業界でのプレゼンス向上に努めています。
エアバスは100社以上の日本企業から年間10億ドルの部品や材料の調達を行っています。
エアバスは世界中で卓越した技術力を求め、主要な国々が持つ高い能力を調査しています。なかでも日本は優れた技術力を備えた国として評価されています。2014年にエアバス・イノベーションズが日本での活動を開始し、続いて2016年にはデジタルトランスフォーメーション部門も日本に設置しました。最先端の研究開発力を備えた日本の研究機関や大学などとパートナーシップを構築し、エアバスの将来の製品に活用できる新技術の開発を目指しています。
エアバスはまた、革新的なデジタル技術開発の促進に力を入れています。デジタル技術によって既存のビジネスパフォーマンスを大幅に向上させ、新たな価値を生み出すだけでなく、運用や企業文化、働き方、お客様やサプライヤーとの関係性を変えて新たなビジネスモデルを創り出すことが可能になります。
デジタル技術を実際のプロセス改善に取り入れることもできます。その一つに、産総研とフランス国立科学研究センターと共同で取り組むロボティクス研究プログラムがあります。電気飛行機開発ロードマップの導入を皮切りに、ジーエス・ユアサ テクノロジーや日産自動車といった日本企業との協同も進んでいます。
その他、ハイブリッド電気飛行機E-Fan Xの開発、機械学習やセンサーからデータを蓄積する人工知能(AI)の活用、次世代ユーザーインターフェイスのための自然言語処理技術の研究も行っています。さらに、最新電池、コネクティビティ、自動運転、新材料開発、AI、データ集積、IoTなどの分野で日本の産業界や研究機関、大学との技術交換や共同開発を探求しています。
また、エアバス・ベンチャーズを通じて、将来の航空宇宙分野で革新的な変革をもたらす技術を持った日本の企業家やスタートアップに対して投資を行っています。
日本の大学とのパートナーシップ拡大 に注力しています。
東京大学と「エアバス・ユニバーシティ・パートナーシップ・プログラム」を締結し、将来の航空宇宙業界を担うエンジニアや専門家、新技術開発者の育成に協同で取り組んでいます。